YOKOTA屋では肥料として発酵鶏糞を使用しています。
肥料のやりすぎは野菜の美味しさを損ない、病害虫の発生、環境汚染につながるため、必要最低限の量に抑えています。
畑を耕した後は、生姜を植えるための畝を作り、雑草対策のためにマルチを張ります。農薬を使用しないので雑草対策は重要です。
昨年収穫し貯蔵しておいた種生姜を一つだいたい100~150グラムになるよう割っていきます。
4月の中旬頃、マルチに穴を開け、そこに種生姜を植えていきます。
土が乾燥しないよう種生姜を植えた上に籾殻を撒きます。
定植後1ヶ月ほどで芽が出てきます。生姜は芽が出てくるまで時間がかかるので、毎年まだかまだかと待ちわびています。
生姜の周りに生えた雑草を一つ一つ手作業で引いていきます。雑草は小さいころに引いて置くことが重要で、放って置くとあっという間に畑が雑草で覆われてしまいます。
生姜の芽が小さいころは、虫に食われやすく、この時期に芽を食われると収量に大きく影響します。そのため被害が確認できた場所の周囲に虫が潜んでいないか日々観察しないといけません。
生姜の芽が大きくなってきたら追肥をし、土寄せをします。
追肥にも発酵鶏糞を使用しています。生姜は土の中で上に上に大きくなっていくので、生姜の茎の根元に土を寄せることで生姜が土から出ないようにします。
生姜は乾燥に弱いので土寄せをした後は、土が乾燥しないようにするために籾殻を撒いていきます。
生姜がある程度大きくなってくると生姜の茎の中に入り、芯を食べてしまう虫が発生します。被害を受けた茎は枯れてしまい被害が拡大すると収量に大きく影響してきます。被害が確認できたところでは虫を一つ一つ取り除いていかないといけません。
台風で茎が折れてしまわないよう、生姜の周りを線で囲います。
通常はネットをかけて台風対策をするのが常識ですが、YOKOTA屋では労力や効果を考えた上でネットは使用していません。
成長してくると生姜が土から出てしまうことがあります。
土から出てしまうと日に当たり、生姜が緑色になったり、乾燥したりするのでその都度、土を被せたり、籾殻を被せたりして土から出ないようにします。
(ちなみに、日に当たり緑色になった生姜も食べることができます。YOKOTA屋の生姜にもたまに緑色になったものもあります。)
YOKOTA屋では、毎年この時期になると「白星病(しらほしびょう)」という病気に悩まされています。この病気は、新しい葉に発生し葉を枯らしてしまいます。発生すると広範囲に広がるので厄介です。収穫は問題なくできますが、生姜が大きくならず収量に影響します。
農薬を一切使用しないので、病気が発生しても見守るしかありません。
YOKOTA屋では、生姜の畝間(通路)に雑草を生やします。畑が単一のもので埋め尽くされると、土壌の微生物が偏り易くなり、その分病害虫のリスクが増えると考えています。
そのため、畝間に雑草を生やすことで畑を生姜だけの状態にしないようにしています。また畝間に雑草の根が張ることにより、通路の水はけが良くなります。生姜を栽培しながら同時に畝間で土作りをするわけです。
夏の暑さや日照り、台風等を耐え、少しずつ強く大きく育っていきます。
YOKOTA屋では、栽培中一切水やりをしないので、夏場の日照り続きは生姜には辛い時期ですが、その時期を耐えることで身の締まった逞しい生姜になっていきます。
身が締まることで香りと辛味が強くなります。
4月の定植から約半年かけて立派に育った生姜を、10月後半~11月中の霜が降りる前の時期に収穫をします。
生姜は寒さに弱いので、霜が降りてしまうと寒さで傷んでしまいます。
この時期になると四万十町ではそこらじゅうで生姜の収穫風景が見られます。
待ちに待った収穫。一年で一番楽しい瞬間です。
通常は機械で掘り起こしてから収穫しますが、YOKOTA屋には機械がないので一つ一つすべて手作業で掘り起こしていきます。
楽しい半面、一年で一番大変な時期でもあります。
半年間かけて強く逞しい「非常識な生姜」になりました。
通常の生姜より小ぶりですが、辛味や香りが凝縮されています。
掘り起こした生姜の茎を切り、根っこを取り、土を落とします。
すべて手作業なので時間のかかる作業です。
収穫した生姜を乾燥しないようポリ袋に入れ、コンテナに詰めていきます。
収穫後は、山に掘った横穴(「壕(ごう)」と呼んでいます)に貯蔵します。壕で貯蔵し、熟成させてから順次出荷していきます。
壕の中は一年を通して温度と湿度が一定であり、生姜の貯蔵に適した環境になっています。
YOKOTA屋では、生姜の収穫後からすぐに来年の栽培が始まります。
収穫後の畑を耕し、そこに緑肥の種を撒き春に向けての土作りを開始します。
春が近くなると同時に緑肥も大きくなってきます。
春にこれを土にすき込み、また生姜を栽培していきます。